本記事は 8月15日「 人気記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
「アフター・シュトラウス & “ バイ・シュトラウス ”」
After-Strauss & “By Strauss”
  もくじ Index は ⇒ こちら

(24)1953年 コルンゴルト
シュトラウシアーナ
から ワルツ


コルンゴルトの肖像 ASV コルンゴルト名曲集
(左 )天才少年 コルンゴルト
(右 )ASV盤のジャケット


エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
組曲「シュトラウシアーナ Straussiana 」
 カスパール・リヒター 指揮 Caspar Richter
 リンツ・ブルックナー管弦楽団 Bruckner Orchestra Linz
録 音:2001年2月 ロンドン
併録曲:
「ヴィオランタ Violanta 」Op.8 からプレリュードとカーニヴァル、劇的序曲Op.4、「おとぎ話の絵 Märchenbilder 」Op.3、「主題と変奏 」Op.42、「シュトラウスの物語 Tales Of Strauss 」Op.21
音 盤:ASV ( DCA1108 ) 海外盤


 コルンゴルト Erich Wolfgang Korngold( 1897 – 1957 )が その生涯の最後に完成させた管弦楽曲が、意外にも これでした。
 天才コルンゴルトの幼少時から存分に発揮された驚異的な才能について、たいへんよくまとめられた文章が Wikipedeia ⇒ 元の記事 にあるのを見つけましたので、以下 ここから一部 引用させて頂きます。

 「 ・・・幼い頃から作曲の才能を示し、モーツァルトと同じ名前と相まって『モーツァルトの再来 』と呼ばれるほどの神童ぶりであった。9歳の時に作曲したカンタータはマーラーを驚愕させ、11歳の時に作曲してツェムリンスキーがオーケストレーションを手伝ったバレエ音楽『雪だるま Der Schneemann 』はウィーン宮廷歌劇場で皇帝フランツ=ヨーゼフ一世の御前演奏会で初演され、万雷の拍手をもって迎えられた(中略 )。12歳で書いた『ピアノ・ソナタ第1番 』は リヒャルト・シュトラウスに戦慄と恐怖を与え、13歳の時の作品『ピアノ・ソナタ第2番 』は 名ピアニスト アルトゥール・シュナーベルによって 全ヨーロッパ中に紹介され、ベルリン・フィルの指揮者アルトゥール・ニキシュは14歳のコルンゴルトに『劇的序曲 』の作曲を委嘱する。傑作『シンフォニエッタ 』を完成させた15歳の頃 すでにコルンゴルトは 音楽の都ウィーンで一人前の職業作曲家として活躍していたのである(以上 Wikipedeia より 一部 勝手に加筆 ) 」。

 一昔前に比べると、実際にコルンゴルトの書いた音を聴くことが出来るディスクの数は、たしかに増えてはいますが、それでも まだ僅少です。マイナー・レーベルの録音が多いので、すぐに廃盤になって 入手困難となってしまうのも不便に感じる点です(そうでなくてもクラシックCDのリリースは 激減しているというのに! )。
 このASVレーベルは CPOなどと並んで コルンゴルト作品のリリースが多く、演奏も録音も一級品ですので 少しでも長くカタログに残っていてほしい、と 切に願う次第です。
 さて この魅力的な作品 組曲「シュトラウシアーナ Straussiana 」は 正確に言うと コルンゴルト自身のオリジナル楽曲ではなく、ワルツ王ヨハン・シュトラウス二世の名旋律を下敷きにした 三部構成(ポルカ、マズルカ、ワルツ )の短い舞踏曲なのです。
ヨハン・シュトラウス 2世 映画の冒頭シーン(シュトラウス記念像 )
ヨハン・シュトラウス二世、ウィーン市立公園の シュトラウス

 ここに選ばれたシュトラウス原曲の素材も興味深く、比較的有名な「新ピッツィカート・ポルカ 」はともかく、オペレッタ「ウィーンのカリオストロ 」や 歌劇「騎士パスマン 」からのワルツポルカ「お気に召すまま 」といった、知名度も高くない作品に 殊更 目をつけているあたり、さすがです。

 コルンゴルトのオーケストレーション技術の特徴として、「撥弦楽器、鍵盤楽器、(小さな )打楽器などの短音を、宝石の一瞬の光芒のように至るところにキラキラと散りばめている (片山社秀氏 ) 」 のが 常套手段であるとも言えます。この「シュトラウシアーナ 」も、ハープやグロッケンシュピールなどの色彩的な音がコンサートホールの天井から降り注いでくるかのような 絢爛華麗なオーケストレーションが機能的で、それはヨハン・シュトラウスの原曲に あたかも金のラメ粉を振りかけたかのような効果です。
 コルンゴルト研究で高名な早崎隆司氏は「ワルツ王をこよなく愛したコルンゴルト最後の管弦楽作品が、シュトラウスへの賛歌であったのは 不思議ではない 」と 述べておられます。 おっしゃるとおりです、コルンゴルトにとって シュトラウスへの敬愛の念とは すなわち、不幸な戦禍によって二度と取り戻せなかった戦前の帝都ウィーンへの深い思慕、そして おそらく幸福のうちに過ぎ去った青春への郷愁 に他ならなかったでしょう。

■ ピアノ曲「シュトラウス物語 Tales Of Strauss 」は、
  「シュトラウシアーナ 」の前哨戦?
 

 そんなコンゴルトの愛するシュトラウスへのオマージュは、実は この「シュトラウシアーナ 」が最初というわけではありませんでした。
 1927年(30歳頃 )に発表された、演奏時間は10分ほどの小品ですが、これも とても魅力的なピアノ独奏曲「シュトラウス物語 Tales Of Strauss 」という作品があり、全編 ヨハン・シュトラウス二世のメロディだけで出来上がっているのです。
 そして 後の「シュトラウシアーナ 」に登場することとなる旋律の殆どが すでに ここで顔を出していることには要注目です。さらに引用されている楽曲は、他にも「加速度円舞曲 」、「浮気心 」、「わが家にて 」、「皇帝円舞曲 」などなど多岐に渡り、さらにクライマックスでは 名曲「美しく青きドナウ」まで流れ出す楽しさ(! )、機会がありましたら ぜひご一聴のほど。
 本記事冒頭にご紹介した カスパール・リヒター(ASV )盤では コプリヴァ編曲によるオーケストラ・バージョンが聴けますが、やはりコルンゴルトの書いたオリジナルのピアノ独奏版も ぜひ聴いておきたいものです。

 世界初録音の楽曲も多数収録された貴重盤、元気いっぱいの打鍵が弾(はじ )ける 明快な好プレイが聴けます。
▼ こちらの全集で どうぞ。
コルンゴルト シュトラウシアーナ_0002
マーティン・ジョーンズのピアノによる「コルンゴルト、ピアノ作品全集」
収録曲:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調、組曲「ドン・キホーテ 」、バレエ音楽「雪だるま(ピアノ編曲版 ) 」、ピアノ・ソナタ第2番 ホ長調、組曲「おとぎ話の絵 」Op. 3、4つの小さな楽しいワルツ、4つの小さなカリカチュア Op. 19、「森が語ること 」、歌劇「ヘリアーネの奇蹟 」から第3幕への間奏曲、ピアノ・トリオ ニ長調 Op.1(4手のピアノ版 )、歌劇「ポリュクラテスの指環(抜粋 ) 」(ピアノ編曲版 )、「から騒ぎ 」から3曲、歌劇「死の都 」第2幕から「Schach Brugge! 」、「同 」ピアノのための大幻想曲、「シュトラウスの物語 Tales Of Strauss 」Op.21、ピアノ・ソナタ第3番 ハ長調 Op.25、「劇的序曲 」 Op. 4 (4手のピアノ版 )
音 盤:Nimbus ( NI-5705~8 )海外盤


■ コルンゴルトは 故郷ウィーンには帰らず・・・
 過去ブログ「ピッツィカート倶楽部 ! 」の中でも すでに話題にさせて頂きましたが ⇒ こちら  ・・・ユダヤ系だったコルンゴルトは 身の危険から 戦争中はハリウッドへ避難してはいたものの、彼の心の故郷は 常にウィーンだったはずなのです。
 ようやく戦後になって ウィーンへの帰郷コルンゴルトは計画しますが、1950年のウィーン・フィル復帰演奏会での不本意な大失敗、ウィーンの複数の歌劇場によるコルンゴルト作品上演キャンセルなど、その失意のあまり 彼はウィーンに定住することを諦めてしまい、望むと望まぬとにかかわらず今や「映画音楽作曲家 」として その地位も盤石なものになってしまった ハリウッドの地へと戻ってしまうのでした。

 その後 - 1956年10月、コルンゴルトは 左脳の脳溢血によって右半身に重篤な麻痺が広がり、これが原因で 家族の名前さえ思い出せないほどの状態となってしまいます。しかし不思議なことに、右脳が支配すると思われる作曲家の名前や音楽に関する記憶のほうは最期まで鮮明だったそうで、翌年5月にブルーノ・ワルターウィーン・フィルハーモニー から届けられた60歳の誕生日を祝う見舞いの電報を心から喜び、同年11月29日に亡くなるまで、常にその枕元に置きながら繰り返し眺めていたそうです。

1954年  ビキニ水域で米水爆実験、日本の第5福竜丸被爆。
      フルトヴェングラー、クレメンス・クラウス 没。

1955年  コンサートマスター ボスコフスキーの指揮により、
      ウィーンフィルのニューイヤーコンサート継続。   
      西ドイツ、NATOに参加。ワルシャワ条約機構発足。

1956年  フルシチョフのスターリン批判。
      第二次中東戦争。
      コルンゴルト、没。

1957年  ソ連が史上初の人工衛星(スプートニク1号 )。   
      国際原子力機関(IAEA)設立。  
      バーンスタイン、ミュージカル「ウェストサイド・ストーリー 」初演。

1958年  エジプトとシリアの合併で アラブ連合共和国発足。
     
1959年  キューバ革命。
      小澤征爾、ブザンソン国際指揮者コンクールで第1位入賞。
      マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス ジョン・コルトレーンらと「カインド・オブ・ブルー 」録音。
      
      ロジャース & ハマースタイン二世による
      ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック 」ブロードウェイ初演
・・・ に続く 

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