スケルツォ倶楽部
名優ゲアハルト・シュトルツェの演技を聴く
オルフ「オイディプス王」(クーベリック)D.G.ゲルハルト・シュトルツェ(最小サイズの肖像写真)   目次は こちら

(2)初期の楽歴

 ゲアハルト(ゲルハルト)・シュトルツェは 1926年10月1日、ライプツィヒの北約50kmデッサウに生まれました。幼少の頃、彼は病弱で無口な少年だったので、歌手になろうとは 周囲の誰も想像してはいなかったそうです。
 第二次世界大戦中はドイツ領内にいたようですが この時期の詳細は不明です。終戦の5月8日には まだ19歳の誕生日を迎えていません。戦後1946年から4年間、ドレスデンコメディ劇場の舞台俳優(!)として活躍します(一部の資料には “ 1940年から3年間 ” と記されたものもあります)。若き日の豊富な舞台経験が、後年の歌劇場での 彼の卓越した「演技力」「ホールの空気を読んで 即興的に反応する表現技術」などの下地を作ったであろうことは、疑うべくもありません。
 この間、ドレスデンにおいてルドルフ・ディートリヒ、及びウィリー・バーデルという人に声楽を師事しています。またベルリンにおいては、ヒトラー・ユーゲント入隊前の少年フィッシャー=ディースカウシュトルツェより一歳年長)を指導したことでも有名な、名教師ヘルマン・ヴァイセンボルンにも師事した後、1949年23歳でドレスデン国立歌劇場にテノール歌手としてデビューします。そこでシュトルツェが 最初に演じた役は、ワーグナーの楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」のアウグスティン・モーザーでした。
 それから早くも2年後、同じ役でバイロイト音楽祭へのデビューを果たしていますから、彼のその特異な才能を周囲が認め、関係者に強力な推薦があった結果であろうということは、想像に難くありません。

1951年 「仕立屋アウグスティン・モーザー
~ ワーグナー:楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー

「ニュールンベルクのマイスタージンガー」(バイロイト音楽祭1951カラヤン)EMI
ワーグナー:楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
 オットー・エーデルマン(ザックス )、
 フリードリヒ・ダルベルク(ポーグナー )、
 ハインリヒ・フランツル(コートナー )、
 ハンス・ホップ(ヴァルター )、
 エーリヒ・クンツ(ベックメッサー )、
 エリーザベト・シュヴァルツコップフ(エーヴァ )、
 イーラ・マラニウク(マグダレーネ )、
 ゲアハルト・シュトルツェ(モーザー )、他
ライヴ録音:1951年8月 バイロイト
EMI(輸入盤CHS-7.63500.2 )
 
 若きゲアハルト・シュトルツェが、「マイスタージンガー 」のモーザー役として初登場を飾った1951年は、戦後最初のバイロイト音楽祭の歴史的再開の年でもありました。
 この時の実況は、(当時、諸事情によりお蔵入りを余儀なくされ、48年後にテスタメントで陽の目を見るまでずっと未発表だった、実質デッカ録音部隊による楽劇「神々の黄昏」全曲録音を別にすれば、)基本的にウォルター・レッグEMI技術陣の手によって、その多くが正規録音として残されています(この「マイスタージンガー 」、カラヤンの「ヴァルキューレ第3幕 」、そしてフルトヴェングラー指揮による 伝説の「第9 」など )。
 「マイスタージンガー 」の第1幕第3場、集まった親方たちの出席の点呼を取るコートナーの声に応え、シュトルツェは 仕立屋の親方 モーザー として 一言 “ Nie fehlen mag(欠席なんか するものか) ” と返事するのみですが、その若々しい一声はまさしく値千金、私にとっては 一瞬 閃光がキラッと走るのを感じるような瞬間です。
 ここ以外は 大人しくマイスターたちのアンサンブル要員に徹しているものの、やがて騎士ヴァルターが最初の歌を披露し、その斬新さに親方たちが当惑の声を上げる場面で シュトルツェ特有の 飛びぬけて高い「あの声 」が、断片的ながら しっかりと響き渡っているのを 聴き取ることが出来ます。
 この翌年に クナッパーツブッシュが指揮する「マイスタージンガー 」においても、シュトルツェは 同じ役を務めます。
スケルツォ倶楽部_シュトルツェ_1951_バイロイト「マイスタージンガー 」(EMI )
ダ・ヴィンチ「最後の晩餐 」さながら バイロイトの舞台に並ぶ「マイスター 」たち、
われらがシュトルツェ(当時25歳 )は 右から5番目? か


次回 (3)バイロイトでの 二つの出会い に続く・・・

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)