本記事は、5月16日の 「人気記事ジャズ ランキング」 で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。

Getz Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) スケルツォ倶楽部 ⇒ 全記事 一覧は こちら
午後のジャズ喫茶 「カフェ ソッ・ピーナ」から
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ボブ・ドロー Bob Dorough の
ナッシング・ライク・ユー  Nothing Like You  」とは、
マイルス・デイヴィス 自身のことかも。

Sorcerer_ソーサラー 最近の Mr.Bob Dorough_Wikipedia_スケルツォ倶楽部 Bob Dorough_Right On My Way Home (Blue Note)

■ 今日のおはなしは、3月11日に起きた大震災の翌週に書いた文章です。 
 お久しぶり、 “スケルツォ倶楽部”発起人(妻 )です。
 本文をアップするのが 2ヶ月以上も遅くなってしまった理由は、一度 全部書き上げたこの文章のオリジナルをUSBメモリーに移した後、どういう理由でか データが全部「壊れて 」しまい、修復も出来ないことを知ったショックからでした。これでも一生懸命書いていたので あきらめきれず、乏しい記憶を思い出しながら 再現したのが、以下の文章です。
 それでも今、読み直してみると 消えてしまった初稿の方が、もっと良かったような気がするのですが、 ・・・仕方ありません。
 全然比較なんかにはなりませんが、あのプロコフィエフが 完全に焼失してしまった自分のピアノ協奏曲第2番ト短調の楽譜を 再現した時の悔しい気持ちが ちょっぴり解ったような気が・・・。

■ 震災翌週の わたしたちの状況・・・
 東北地方の惨状に比べてしまうと、わたしたちが暮らす関東地方の某地域など ごく軽微な被害でしょう。しかし ガス・水道は復旧こそしたものの、自分たちの住んでいる区域が 第?グループなのかもよく判らぬまま 突然スタートした「計画停電 」の断行によって、不安とストレスが募る日々が始まりました 。
 夫は と言えば 朝の道路渋滞が もう半端でなく大変だということで、日々 車のガソリン残量を気にしつつ 週明けの月曜日から ずっと夜明け前(朝5時前 )に出発する毎日。 - ご苦労さまデス。

 さて、わたしのお気に入りの ジャズ喫茶ソッ・ピ-ナ - ただでさえ狭くて片づかなかった あの喫茶店、そして音楽以外のことには尽(ことごと )く不器用なマスターは、果たして今 どうしているやら・・・ と、震災の翌週になってから 急に気になりだし、様子を見に行くことにしたのでした。

■ 震災後 初めて ソッ・ピーナ へ出向いてみると
 目的地に近づいてみると、見た目には 近隣の他の建物と同様 特に目立った被害は 見受けられない様子・・・。
 店内は大丈夫かなーと まだ寒さも厳しいこの時期( - 繰り返しますが、この文章はもともと 今年3月14日の週に書いたものです )、北風が吹き抜けてゆく外階段を駆け上がってゆくと、入口のドアを通して お店の内側から1960年代のマイルス・デイヴィスらしいトランペットのブロウイングが聴こえてくるではありませんか。あー 良かった - と、ようやく安堵感を得ながら、営業しているらしい 喫茶ソッ・ピーナの店内へ。

 いつものとおり 重い入口ドアに吊ってあるカウベル - その がららんと鳴る音に、マーラーの6番を連想しつつ 入店すれば、
「いらっしゃいませー 」
と いつもの声。マスターが 厚いコートを着込んで出迎えてくれます。

わたし  「マスター! 先週の地震 大丈夫だったー? 」
マスター 「あー、奥さん。心配して来てくださったんですか。すみませんね、ぼくも店も ご覧のとおり 無事ですから。建物も意外に丈夫でした 」
わたし  「お店の5,000枚のレコードやCDは? 」
マスター 「もともと 棚にぎゅーぎゅーのスシ詰め状態でしたから、あれほどの揺れにも 殆ど 抜け落ちなかったんですよ。棚自体も壁に据え付けでしたし 」
わたし  「よかったねー、でも揺れた時に ターンテーブルで回していたレコードは 何だったの? 」
マスター 「ジャキー・マクリーンの“ Swing, Swang, Swingin’ ブルーノート 4024番 ) ”A面でした。針がレコードの上を 斜めに横断しちゃって、最初の“What’s New? ”から一直線に、全部 深くスクラッチしちゃいましたね 」
Swing, Swang, Swingin’
わたし  「あーあー、もったいない。オリジナル盤? 」
マスター 「いえいえ、キングレコードで70年代に復刻されたL.P.盤ですよ。奥さんこそ、ご自宅のほう 平気でしたか 」
わたし  「夫のクラシックCDコレクションの 主に高い棚の上に置いてあった EMIジョルジュ・シフラ全集とか Decca盤ドラティのハイドン交響曲全集とか RCA 冨田勲とか セットもの中心に30組くらい一斉に落っこちて、プラ・ケース割れたり カートン・ボックス潰れちゃったり、可哀想にベソかいてたけど。家(うち )は大丈夫だったよ 」
マスター 「それくらいでしたら、ご主人には失礼ですが 不幸中の幸い でしたね 」

■ エアコン壊れ、暖房代わりにトースター?
わたし  「ね、ところで店内、凄く寒くない? エアコン切ってるのね、節電? エライわねー 」
マスター 「違いますよ。地震の日に故障して点かなくなっちゃったんです。もう親父の代から使い続けている古いエアコンでしたから あの激しい振動で基盤がイカレたのか センサーが壊れたのか、業務用エアコンだから直らないと困るので あちこち電話してるんですが、どこの電気屋に相談しても、今 やっぱりスゴク忙しいらしくて、来てもらえるところが どこもないんですよ 」
わたし  「ははあ、それでマスター、店内なのに コート着込んでいたのね、こんなに寒かったら 営業にならないでしょう 」
マスター 「そうなんです、せっかくご来店のお客さんにも 迷惑かけちゃって・・・ 理由を話すと 皆 オーダーをキャンセルして帰っちゃうんですよ 」
わたし  「当然でしょうね。この寒さだもん。第一、マスター 自分が風邪ひくわよ 」
マスター 「でも、ホラ この新しいトースターが 役立ってるんですよ(笑 ) 」
 トースター壊れる
わたし  「って、やだ マスター、トースターを暖房代わりに使ってるの? ストーヴにしなさいよ、熱効率が良くないし、かえって 電気の無駄なんだよー 」
マスター 「ストーヴも先週から ずいぶん探したんですけど、どうやら買い占められちゃってるみたいで、この辺では どこの家電店にも残ってないんです。 ・・・トースターでも結構 温かいんですよ。ほら、奥さんの足元に置いてあげましょう 」
わたし  「・・・ホントね、あったかいけど15分ごとにタイマーを回さなきゃいけないし、絶対に不効率よね 」
マスター 「あ、いらないですか? 」
わたし 「・・・ううん、寒いから このまま置いておいて頂戴 」

マスター 「(ゴホン )ええと、オーダーをお願いします 」
わたし  「じゃ、去年 わたしが教えてあげた フレンチトーストを マスター、上手に焼けるようになったか、作ってみせなさいよ 」
マスター 「いやー、今週は パンがずっと品切れなので スペシャル・オーダーは お受けできかねます。メイプルもないし・・・ ほ、ホント 残念だなあ 」
わたし  「って 何よ、うれしそうに 」

■ 「ソーサラー Sorcerer 」に登場する歌手 ボブ・ドロー とは 何者?
わたし   「ところで 今 聴こえているの、またマイルス・デイヴィスね 」
マスター 「そうなんです。ぼく、あれから ( ⇒ 前回参照マイルスへの想いが再燃してしまい、お客さんがいてもいなくても マイルスのディスクを 毎日一枚選んでは 午後一番に大音量で 聴く日々なんです」
わたし  「それで 今日のチョイスは、名盤『ソーサラー 』だったというわけね。・・・あ、このアルバムのラストに配された不思議な一曲 - 賛否両論の『ナッシング・ライク・ユー 』が始まっちゃったね 」
Sorcerer_ソーサラー
マイルス・デイヴィス「ナッシング・ライク・ユー 」
 ~ アルバム「ソーサラー 」より
 ( 作詞 フラン・ランデスマン、作曲 ボブ・ドロー )
ボブ・ドロー(ヴォーカル )、マイルス・デイヴィス(トランペット )、ウェイン・ショーター(テナー・サックス )、フランク・レハク(トロンボーン )、ポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラムス )、ウィリー・ボボ(パーカッション )
録 音 : 1962年8月21日
音 盤 : CBS


わたし  「アルバム『ソーサラー 』の中に収録された全7曲のうち 6曲は、黄金のクインテットマイルス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムス )によって1967年にレコーディングされたもの。なのに、最後の1曲だけ 上記データのとおり メンバーも録音年も異なる この不思議なヴォーカル曲『ナッシング・ライク・ユー 』が、まるで付け足されたように入っていることには、わたし 凄い違和感あるの 」
マスター 「そうですね。たしかに なぜ5年も前に録音された、雰囲気もサウンドも異なる演奏を これほど統一感のあったアルバムのラストに わざわざ挿入する必要があったのでしょうか? マイルスウェイン・ショーターと初めて共演しためずらしい記録だったから 今で言うボーナス・トラック的に収録したものである とされるのが通説ですが、編集者でもあるプロデューサー テオ・マセロの真意は 不明です 」
わたし  「テオ・マセロが、実は 同じ年に録音される 次作『ネフェルティティ 』と併せ、『ソーサラー 』セッションとして 全体を二枚組のレコードとして企画していたのではないか、そうだとしたら “二枚”の折返点として 『ナッシング ~ 』を センターに配置したのでは? という マスターの説 ( ⇒ 『 鏡の国のマイルス・デイヴィス 』参照 )、とてもおもしろかったわ 」
マスター 「ありがとうございます。そうとでも考えなければ、一枚のアルバムの中で『ナッシング ~ 』の浮き具合ったら異常ですからね、『マイルスを聴け! 』の著者 中山康樹氏のように ボブ・ドローのこの一曲はカットすべき なーんていう極端な意見を持つ人が出てきても ぼく 決して驚きません 」
わたし  「わたしは むしろ 中山センセイの意見に同意しちゃう! 」
マスター 「でも、このボブ・ドローという歌手の声って、何か オモシロイと思いませんか? 実は ぼくは大好きなんですが 」
わたし  「えー? 声質はイヤに軽いし、取り立てて美声とも言えないし、わたしには よくわからないけどなー 」
マスター 「そうですか。でも 果たしてジャズ歌手が“美声 ”である必要があるでしょうか。男声ジャズ・ヴォーカリストで“美声 ”の人って、どういう人ですか。フランク・シナトラナット“キング”コールメル・トーメジョニー・ハートマンなんていう人もいましたね、でも やはり大事なのは 声と表現の個性ではないかと思うんですよ 」
わたし  「ふんふん 」
マスター 「ルイ・アームストロングホーギー・カーマイケルマット・デニスとか チェット・ベイカーなど、個性的な声を持ったシンガーの方が むしろジャズ・ヴォーカルとしては ずっと魅力的だと思いますけどね。それに ボブ・ドローの歌唱って、マイルスのトランペットに どこか似ているところがあるようにさえ思えるんです 」

ドローの唱法と マイルスのフレージングって、似ている?
わたし  「えーー、どこが? 」
マスター 「そうですね、まずドローが、楽器としてのトランペットの音域を ちょうどフォローする声域を持っていることです。それに 個性的な声質 - 時にふらつくような不安定感さえ抱かせるほどの繊細さ、軽さ、しかし実は 音程も正しく、鋭さもある - マイルスそのものです 」
わたし  「・・・おもしろいかも 」
マスター 「また マイルスのプレイの特徴として、決して必要以上に音を伸ばすことをしない、不用意なヴィブラートをかけることも殆どしない、という点が挙げられますが、ボブ・ドローも同じなんです。朗々と声を張り上げるようなことはせず(効果を狙ったり、意図的にふざけて 伸ばしたりすることは 多いですが )、基本的に音は短く切っていますから、とてもドライでモダンな味わいがあり、特に ゆったりしたバラードなんかを歌うときなどは 逆に、物凄く間(ま )が生きるんですね、それは まるでマイルスのミュート・プレイ そのものです 」
わたし  「ねーねー、他に ボブ・ドローが聴けるレコード、かけて頂戴 」
マスター 「はい、喜んで。では『ナッシング・ライク・ユー 』は 最後にもう一度 登場させるとして、まず先に何枚か 聴かせてあげましょう、最初はコレです 」

 (ここ以下の文章は、しばらく マスターの語り となります )

ガーシュウィン作曲 歌劇「ポーギーとベス 」全曲
ガーシュウィン 歌劇「ポギーとベス 」Bethlehem
メル・トーメ(ポーギー )、フランシス・フェイ(ベス )、ベティ・ローシェ(クララ )、ジョージ・カービー(スポーティン・ライフ )、ジョニー・ハートマン(クラウン )、サリー・ブレア(セリーナ )、フランク・ロソリーノ(ジェイク )、ボブ・ドロー(蟹の行商人 )ほか
ラス・ガルシア指揮 ベツレヘム・オーケストラ
デューク・エリントン・オーケストラ、スタン・レヴィ・グループ、パット・モラン・カルテット 他
録音:1955年
音盤:Bethlehem(45CY-3075~76 )
 
  これは、ガーシュウィンが遺した傑作フォーク・オペラを ベツレヘム・レーベルのプロデューサー レッド・クライドの企画によって 当時の同レーベルにおける最高の演奏家を中心にキャストが組まれた、ジャズ・アダプテイション版による ジャズ録音史上においても重要なレコーディングです。
 オーケストラのトランペット・セクションには メイナード・ファーガソン、クラーク・テリー、同じくフルート・セクションには ハービー・マン、またアルト・サックス奏者に名手ジョニー・ホッジス、ギターにサル・サルヴァドール、ピアニストにデューク・エリントン自身、クロード・ウィリアムソン、ラルフ・シャロンといった、当時の著名なミュージシャンのスター・プレイヤーの名前も散見される中、主人公のひとり“ベス ”を演じるフランシス・フェイが思い切りよく歌う 「 アイ・ラヴズ・ユー、ポーギー 」には 一筆書きのような勢いがあり、それは圧倒的です。
 この歴史的なレコーディングに 若き日のボブ・ドローが参加していたのです。ごく端役ですが 街を通り過ぎるクラブマン(蟹の行商人 )役で登場。“ I’m talkin’ about devil crabs ! ”と表情豊かに繰り返します。たった一分間の出演ながら この時すでに個性が大爆発。実に味のある呼び込みを聴かせてくれます。

■ 初リーダー・アルバムにして 最高傑作「デヴィル・メイ・ケア
Bob Dorough_Devil May Care (Bethlehem )
ボブ・ドロー Bob Dorough : DEVIL MAY CARE
収録曲:Old Davil Moon、It Could Happen To You、I Had The Craziest Dream、You're The Dangerous Type、Ow、Polka Dots And Moonbeams、Yardbird Suite、Baltimore Oriole、I Don't Mind、Devil May Care、Midnight Sun、Johnny One Note
演 奏:ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、ビル・テイカス Bill Takus(ベース )、ウォレン・フィッツジェラルド(トランペット )、ジャック・ヒッチコック(ヴァイブ)、ジェリー・シーガル(ドラムス )
録 音:1956年10月 ニューヨーク
音 盤:Bethlehem(TOCJ-62069 ) 
 
  ボブ・ドロー、最初のリーダー・アルバムにして、 最高傑作。 ・・・ジャケット写真こそ 今ひとつ冴えませんが(笑 )、中身に詰まった音楽は 切れまくっています。
 生涯の親友ベーシスト、“コーヒー・マン”ビル・テイカスが全面共演。チャーリー・パーカーの名曲「ヤードバード組曲(って、どこが「組曲 」なんだろ ) 」で パーカーのフレーズに巧みなヴォーカリーズを施して あっと言わせるかと思えば、落下する6つのノートを繰り返し印象的に扱ってみせる静寂のバラード「水玉模様と月の光 」における怪しい囁きの素晴らしさ、コミカルな「ジョニー・ワン・ノート 」におけるユーモアたっぷりに「正確な音程 」で伸ばされる一音(ワン・ノート )、そして 全曲に渡って途切れず披露されるのが 乾ききった独特のバップ・スキャット炸裂と 巧みなピアノ弾き語りの妙味で、ピアノ(キーボード・プレイヤー )としての腕も確かです。
 また 特筆すべきは、ピアノ・トリオにトランペットとヴィブラフォンという ヴォーカリストのバック・バンドにしては 比較的珍しい楽器をアンサンブルに加えた、驚きの精妙さでしょう。これは 後のエリック・ドルフィーの名盤「アウト・トゥ・ランチ Out To Lunch(ブルーノート ) 」に近い楽器編成であったことに気づかされる、飛びきりモダンで独特な雰囲気です。

ブルー・クリスマス マイルス・デイヴィス
Blue Xmas ( To Whom It May Concern )

Jingle Bell Jazz(Columbia ) Blue Christmas  CBS-SONY Miles Davis(1959頃)
マイルス・デイヴィス : ブルー・クリスマス Blue Xmas ( To Whom It May Concern )
ボブ・ドロー(ヴォーカル )、マイルス(トランペット )、ウェイン・ショーター(テナー・サックス )、フランク・レハク(トロンボーン )、ポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラムス )、ウィリー・ボボ(コンガ )
録 音 : 1962年8月21日
音 盤 : CBS(クリスマス・オムニバス“ジングルベル・ジャズ ” )

収録曲 : ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス ( デクスター・ゴードン )、アイル・ビィ・ホーム・フォー・クリスマス ( マッコイ・タイナー )、クリスマス・ソング ( アーサー・ブライス )、アワー・リトル・タウン ( ヒース・ブラザース )、ゴッド・レスト・ヤ・メリー・ジェントルメン ( パキート・デ・リヴェラ )、われらは三人の王 ( ウィントン・マルサリス )、ジングル・ベル ( デューク・エリントン )、ホワイト・クリスマス ( ライオネル・ハンプトン )、クリスマス・ソング ( カーメン・マクレエ )、赤鼻のトナカイ ( ポニー・ポインデクスター )、サンタが街にやってくる ( デイヴ・ブルーベック )、デック・アス・オール・ウィズ・ボストン・チャーリー ( ランバート、ヘンドリックス & ロス )、 ブルー・クリスマス ( マイルス・デイヴィス、ボブ・ドロー )、ヒイラギ飾ろう ( ハービー・ハンコック )
☆ この企画の オリジナル盤リリース時に収録されていたナンバーは、デューク・エリントン以下の 8曲でした。

  コロンビア盤におけるクリスマスのコンピレーション・アルバム企画が進む際、ボブ・ドローのリーダー作「デヴィル・メイ・ケア 」を聴き これが気に入ったマイルス・デイヴィスの強い希望によって、ドローとの共演が実現した - と、高田敬三氏のライナー文章には書かれていますが、真相は不明です。
 ・・・と言いますのも、少なくともマイルス自身は この時期 愛する実父を亡くしたばかり、精神的にも相当不安定な時期だったようで、その「自叙伝 」においても 以下のようにしか語ってはいないのでした。

 ― コロンビアは続いて、クリスマス・レコードを作ることを思いついて、ギル・エヴァンスにアレンジを頼んだ。そこまでは良かったが、ボブ・ドローという馬鹿げたボーカリストを入れて歌わせたほうがヒップだと考えやがった。ウェイン・ショーターのテナー、フランク・リハクというトロンボーン、ウィリー・ボボのコンガで、8月にレコーディングした。最悪のレコーディングだった。これについては話さなければ話さないほどいい。ただ、ウェインと初めて一緒に演(や )れたし、彼のやったことは、とても気に入った。(以上、中山康樹氏=訳『マイルス自叙伝(宝島社 ) 』より )
 
 ・・・これだけを読んでしまうと、ボブ・ドロー、後輩であるマイルスから あんまりな言われように見えますよね。
 でも コレって いわゆる「マイルス語 」だった - という可能性も決してないとは言えない? と思いたいのです。マイルス語? はい、実は マイルス・デイヴィスって、自分が好むプレイヤーや友人等に対し、親愛の情をこめて 敢えて貶すような言葉を平気でぶつけまくることが多かったのです。あのテオ・マセロにも ジョン・コルトレーンにも ハービー・ハンコックにも ジョゼフ・ザヴィヌル にさえも 同様な、いえ、もっと残酷な言葉を投げつけた記録を探すのは 決して難しくありません。でもマイルス自身は 褒めているつもりでいる場合が多いのです。
 ですから、( - そう言いながらも 原文 読んでませんが )ボブ・ドローに肩入れしているぼくが 好意的に 上記の文章を 勝手に意訳し直すと、以下のようになるのでした・・・。

 ― コロンビア・レコードはクリスマスに発売するためのレコードを作るため、ギル・エヴァンスにアレンジを頼んだ上、ボブ・ドローという才能豊かなヴォーカリストも参加させることで さらにヒップな(イカシた )作品にしようという企画を立てた。これにウェイン・ショーターのテナー、フランク・リハクのトロンボーン、ウィリー・ボボのコンガを加えて、8月にレコーディングしたものの、( 父の死から間もなくのことで )調子も最悪だったから、この結果については あまり話したくない。ただ、ウェインと初めて一緒に演(や )れたし、彼のやったことは、とても気に入った。

 ・・・いかがでしょうか。ぼくには このようにも読めるのです。すみません、中山センセイ。
 まさに 蓼喰う虫も好き好き、個人的には お気に入りの「ナッシング・ライク・ユー 」と同日の録音、この「ブルー・クリスマス 」も ぼくの耳には 素晴らしい! の一語。
 この2曲は いずれも独特の 間(ま )を生かしたピアノレス編成であることが大きな特色ですが、これもアレンジャーであるギル・エヴァンスの慧眼と感じます。これによってドローの個性豊かなヴォーカルが 見事に浮き上がってくる、という不思議な感覚が味わえます。
  ポール・チェンバースのベース、ジミー・コブのドラムスということは、あの名盤「カインド・オヴ・ブルー(1959年 ) 」のリズム・セクションではありませんか。ここではマイルスのトランペットもバッキングに徹した控えめなものながら 決してアンサンブルの中に埋もれてしまうことなく、やはりサウンド全体を支配しています。
 また コンガの音もたいへん気持ち良いです(そう言えば、80年代中頃まで どうした経緯でなのか パーカッション奏者は 若き日の × チック・コリアだった - という誤った情報が流布されていましたが、後に マイルス自身によって打ち消されましたね )。
 若きウェイン・ショーターのテナー・サックスのソロ・パートがとにかく出色で、あたかもコルトレーンのような雄弁さで切り込んでくる そのカウンター・フレーズには 思わず耳を奪われてしまいます。うーん、格好良い!
Miles_Gil_The Complete Columbia Studio Recordings
 ちなみにドローは不参加でしたが ドローのオリジナル曲「デヴィル・メイ・ケア 」も このときマイルスらは ギル・エヴァンスによる編曲によって 録音を残しています。残念なことに 現在は この マイルス=ギル コンプリートボックス(CBS‐SONY )でしか聴けないのが 不便ですが。

ジャスト・アバウト・エヴリシング Just About Everything
Bob Dorough_Just About Everything
演 奏:ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、アル・シャックマン(ギター )、ベン・タッカー(ベース )、ペリー・ブライス(ドラムス )
録 音:1966年3月17、21日

収録曲:Don't Think Twice、Baltimore Oriole、I've Got Just About Everything、The Massage、The Crawdad Song、Better Than Anything、But For Now、'Tis Autumn、Baby, You Should Know It、Lazy Afternoon
音 盤:PCD-22040
  意表を突いて ボブ・ディランのナンバーで始まります、アレンジも軽快でカントリーっぽいとさえ思える 解りやすい「ドント・シンク・トワイス 」です。ボブ・ドロー“スタンダード”にして 楽しい名曲「ジャスト・アバウト・エヴリシング 」は、これが決定盤と勝手に断言します。親友ベン・タッカーが参加しているのなら、「ザ・メッセージ 」や「ベイビー、ユーシュッド・ノウ・イット 」だけでなく、同じ彼らの共作で大ヒットした「カミン` ホーム・ベイビー 」もぜひ歌ってほしかったところですが、それが聴けるディスクは、意外やこちら(下記 ) になります。

金子晴美の「アイ・ラヴ・ニューヨーク 」をプロデュース!
Produced by Bob Dorough_アイ・ラヴ・ニューヨーク(金子晴美 )
演 奏:金子晴美(ヴォーカル )、ボブ・ドロー(プロデュース、ヴォーカル )、ハンク・ジョーンズ(ピアノ )、ロン・カーター(ベース )、スティーヴ・ギルモア(ベース )、グラディ・テイト(ドラムス )、ビル・グッドウィン(ドラムス )、ハリー・リーヘイ(ギター )、ジョージ・ヤング(テナー・サックス )、デイヴ・サミュエルズ(ヴィブラフォン、マリンバ )
収録曲:How About You ?  Too Shy To Say、I've Got Just About Everything、But For Now、Comin' Home Baby、You Took Advantage Of Me、These Foolish Things Remind Me Of You、A Good Man Is Hard To Find、Brown Skin Girl
音 盤:PHILIPS
  80年代 わが国で女性ジャズ・ヴォーカリストの小ブーム(秋本奈緒美、阿川泰子、真梨邑ケイ マリーン などが活躍 - )が巻き起こる、その先駆けともなる1979年、(どういうコネクションだったのかは不明ですが、 )ボブ・ドローのプロデュース(! )によってデビューすることになった 若きシンデレラ・ガール、金子晴美さんの初リーダー・アルバムです。
 彼女は ニューヨークのボブ・ドローの自宅に 二週間ホームステイし、彼の特訓を受けながらレコーディングに挑んだ、とライナーには書かれています。日本から来た弱冠25歳のお嬢さんに、ドローったら面倒見の良いこと・・・。
 しかも ここでは ハンク・ジョーンズ、ロン・カーター、グラディ・テイト、ジョージ・ヤング、デイヴ・サミュエルズ・・・って、ちょっと凄い顔ぶれのメンバーを起用しています。
 若き日の金子晴美さんの歌い回しには、正直 いわゆる「英語の上手な日本人 」特有の発音と過剰なヴィブラートにいささか青臭さを感じてしまうものの、アルバム冒頭「ラプソディ・イン・ブルー 」の一節を引用しながら始まるガーシュウィンの「ハウ・アバウト・ユー 」からもうニューヨークの香りでいっぱい。彼女とデュエットするボブ・ドローは、ここで自由に歌詞を変えて、自分自身も楽しんでいるようです。「君のお気に入りは How About You ? 」に、晴美さん「スティーヴィ・ワンダー 」と答えれば、一方 ドローは「オレは むしろ シナトラストラヴィンスキーだ 」という意外な返事の応酬が 実におもしろいです。二人のデュエットは もう一曲、ドロータッカー・コンビによるヒット曲「カミン’ホーム・ベイビー 」でも聴けます。

ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト Beginning To See The Light
Bob Dorough_Beginning To See The Light
ボブ・ドロー(ピアノ、ヴォーカル )ビル・テイカス(ベース )
録 音:1976年4月 ライヴ・アット“ コンサート・バイ・ザ・シー ”(レドンド・ビーチ )、カリフォルニア 

収録曲:サイモン・スミスと踊るくま、ベター・ザン・エニシング、アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト、ア・ハンドレッド・イヤーズ・フロム・トゥデイ、アイム・ヒップ、ナッシング・ライク・ユー、スモール・デイ・トゥモロウ、ノルウェイの森、ビコーズ・ウィーアー・キッズ、アイヴ・ガット・ジャスト・アバウト・エヴリシング
音 盤:Laissez-Faire(VSCD-075 )
  ボブ・ドローと彼の 生涯の盟友ビル・テイカスのデュオによる、最初のライヴ・アルバムの傑作です。
 高田敬三氏による ボブ・ドローについての優れた紹介文が国内盤のライナーには付いています。こちらを読んでさえ頂ければ、最早ここで ぼくが ドローの略歴をわざわざ書き写して したり顔を見せる必要もないでしょう。
 「アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト 」だけでなく、「アイム・ヒップ 」、「ナッシング・ライク・ユー 」、「アイヴ・ガット・ジャスト・アバウト・エヴリシング 」といったドロー“オリジナル・レパートリー ”が繰り出されるのには ホント心奪われます。ランディ・ニューマンの「サイモン・スミスと踊るくま 」、 ビートルズ(ジョン・レノン )の「ノーウェジアン・ウッド という珍しい選曲が聴けるのも 意外な聴きものです。

トゥ・コミュニケイト To Communicate
Bob Dorough_To Communicate
収録曲:トゥ・コミュニケイト、W.P.A. 、ウィンズ・オブ・ヘヴン、ハリー・イン・ザ・ナイト、アイム・ヒップ、オブ・ラ・ディ,オブ・ラ・ダ、シー・スマイルド・スウィートリー、ストレンジャー、ラヴ、オーヴァーズ
演 奏:ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、ロン・カーター(ベース )、ビリー・コブハム(ドラムス )、リチャード・デイヴィス(ベース )、バーナード・パーディ(ドラムス )他多数
録 音:1970年
音 盤:Laissez-Faire(VSCD-075 )

  この国内盤のライナー・ノートを担当している インスタント・シトロン片岡知子さんという人の文章、とても詳しくてわかりやすく 尚且つ楽しいです。ボブ・ドローへの愛情と思い入れの深さは「ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト 」国内盤解説文を書かれていた 高田敬三氏に勝るとも劣らないです。
 ビ・バップのスキャットが個性だったドローのジャズ色はこのアルバムでは希薄、代わりに フォーク、ソフト・ロック調の楽曲が目立ちます。
 ビートルズ(ポール・マッカートニー )の佳曲「オブ・ラ・ディ,オブ・ラ・ダ 」では超快速スピードにマリンバがコロコロ鳴る特異なアレンジ、「オーヴァーズ 」は S & Gの傑作アルバム「ブックエンド 」で知られる ポール・サイモンの隠れた傑作。本ディスクは ブロッサム・ディアリーの録音でも知られるドロー・スタンダード(!)ナンバー「アイ` ム・ヒップ 」の決定盤でもあり、友人のスチュアート・シャーフ作曲による傑作「W.P.A.(職安 ) 」 - そのアコースティック・ギターと抑制の効いたパーカッションによる硬質なアンサンブル・リズムからは、まるで 90年代のトレンドとなる、ベイビーフェイスのアレンジをすでに20年も先取りしたかのような先見性を聴くことが出来ます。「ウィンズ・オヴ・ヘヴン 」、「ハリー・イン・ザ・ナイト 」の 2曲は、注目のフラン・ランデスマン(後述 )による歌詞ですね。

ソングス・オヴ・ラヴ Songs of Love( ライヴ・イン・バルセロナ )
Bob Dorough_Songs Of Love (国内盤 ) Bob Dorough_Songs Of Love
(左 )国内盤 ロックチッパー・レコード OWCO-2001
(右 )海外盤 Orange Blue Records OB-001CD

演 奏:ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、ビル・テイカス Bill Takus(ベース )、アル・レヴィット(ドラムス )、アート・ファーマー(フリューゲルホーン )
収録曲:Gal In Calico、The End Of A Love Affair、You Go To My Head、 There's Never Been A Day、Call Me Irresponsible、Blame It On My Youth、 Down In The Depth On 90th Floor、But Beautiful、I Fall In Love Too Easily、 Darn That Dream、I Remember You、I Keep Goin' Back To Joe's
録 音:1987年3月 バルセロナ、ライヴ
音 盤:Orange Blue Records OB-001CD(国内盤 OWCO-2001 )

  スペインはバルセロナの あまり広くなさそうなライヴ・ハウスにおける インティメイトな聴衆の反応も見事にとらえた、雰囲気の良い実況録音盤。80年代のボブ・ドローのヨーロッパでのライヴ活躍を 実際に耳で聴いて確かめることができる貴重なディスクでもあります。
 1曲目の「ギャル・イン・キャリコ 」における ドロー自身が鍵盤を叩くピアノの繰り返すバッキング・リズムの気持ち良さは、古今無類の素晴らしさ。
 スペシャル・ゲストとして参加している名手アート・ファーマーの吹くフリューゲルホーンの音色と ボブ・ドローの声との相性の良さが とりわけ耳に残ります。
 なお 同時期のヨーロッパでのドローの活躍をとらえた実況録音盤には 他にも 以下のようなディスクがあります。いずれもドローによるピアノの弾き語りに 盟友ビル・テイカスのベースを加えたデュオ編成が基本となっています。

デヴィル・メイ・ケアⅡ  Devil May Care Ⅱ
Dorough  Takas
録 音:1982年3月 パリ
音 盤:Bloomdido BL.008
 
  ジャケット・デザインは いかにもマイナー盤っていう感じで、普通の人なら手に取って見る気さえしない一枚かもしれませんが、基本のドロー + テイカスデュオに加え、バルセロナでも共演していたドラマー アル・レヴィットが参加しています。
 ドローが奏でるピアノの音に注目。ここで聴かれるのは 明らかにアコースティック・ピアノの音ではありませんね、これは - もし間違ってたらスミマセン - YAMAHAエレクトリック・グランド CP-80 か、それに類似した楽器に違いありません。この当時 ロック系のライヴ・ハウスの多くに配備されていることも多かった エレクトリック・ピアノでした。有名なフェンダー・ローズ・エレクトリックとは異なり、打鍵時にピアノの生(なま )音としての質感を 相当出せる 得がたいキーボードだったので、この当時 世界的に普及していました。ウェザー・リポートの名盤「ナイト・パッセージ 」で キーボーディスト ジョゼフ・ザヴィヌルが操っていた楽器のひとつが コレ だったように記憶してます。
 ドローのオリジナル・スタンダード「デヴィル・メイ・ケア 」やデューク・エリントンのナンバー「アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト 」、ホーギー・カーマイケルの名曲「スカイラーク 」等、絶妙の選曲で 全9曲が楽しめます。

シング・アンド・スイング Sing And Swing 
Bob Dorough Bob Dorough with Bill Takas
(左 )アルバムジャケット(L.P. )
(右 )ボブ・ドロービル・テイカス(右 )

Side A (1984年3月25日 フェラーラ )

収録曲:Everything Happens To Me、Bijou I’m Crazy For You、 When Sunny Gets Blue、Be Careful It’s My Heart、It’s Not Easy Being Green
Side B (1984年3月24日 ボローニャ )
収録曲:Route 66、Moonlight In Vermont、Yardbird Suite、Quiet Night、Better Than Anything
音 盤:RED RECORD NS-204(海外盤L.P. )
  マット・デニス作曲の「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー 」、ボビー・トゥループ作曲の「ルート66 」など、ドローと同じく ピアノ弾き語り歌手の持ち歌を取り上げた 選曲の幅広さも興味深いイタリアでのライヴ録音です。個人的には「It’s Not Easy Being Green 」が とりわけユーモアあふれる一品と高く評価しています。

メモリアル・チャーリー・パーカー Memorial Charlie Parker
Bob Dorough_メモリアル・チャーリー・パーカー With Phill Woods
収録曲 : Yarbird Suite-Charles Yarbird Was His Name、'Tis Autumn、Everything Happens To Me、Au Privave-Sittin' At The Au Privave、Better Than Anything、Charlie Parker Medley : How High The Moon - They Can't Take That Away From Me - Just Friends - Slow Boat To China – Laura、Twisted、Baltimore Oriole、What Ever Happened To Love Songs ? 、Never Had The Blues At All、I'm Beginning To See The Light、Blue Xmas ( To Whom It May Concern )、Nothing Like You ( An Extravagant Love Song )
録音:1985年 5月17日 ローマ
    1983年10月26日 パリ
音盤:Philology W-24-2

  1985年のローマ録音のコンサートの方は、モダン・ジャズのパイオニアとして、若き日のドローも共演実績があるという 巨人チャーリー・パーカーに捧げるプログラム企画でした。
 名曲「ヤードバード組曲 」、「ティス・オータム 」、の他、10分以上に及ぶ「チャーリー・パーカー・メドレー 」に注目ですが この途中 残念ながら 下手な編集によって一瞬音が切れてしまっている箇所があり、そこだけは興ざめです。
 「オウ・プリヴァーヴ 」にのみ ヨーロッパにも縁の深いアルト・サックス奏者 フィル・ウッズが 特別参加しています。しかしジャケットにこれほど大きく写っていながら、ウッズの登場が これ たった1曲だけとは、タメイキしきり。演奏はもちろん悪くはありませんが・・・。

ポップ・アート・ソングス This Is A Recording Of Pop Art Songs
Bob Dorough_This is a Recording of Pop Art Songs
収録曲:レッセ・ファンファーレ、ビカミング・パートリー・クラウディ、マイ・ビル、ア・プリー・オブ・ギルティ、ノット・レスポンシブル・フォー・シュリンク、 ラヴ、シュド・ザ・ニード・アライズ、ドゥ・ノット・リムーヴ・ディス・タッグ、セレクティヴ・サーヴィス・メヌエット、アップル・パイ、リーガル・テンダー、ホエン・ユー・リーチ・65・オア・ダイ、ディス・イズ・ア・レコーディング(電話交換手のメッセージ )
録 音:1990年
音 盤:Laissez-Faire(VSCD-076 )

  いかにもドローらしい、変わったコンセプトのおもしろいアルバムです。
 収録されているオリジナル曲に付けられている歌詞の全てが、感情を排したドライな文章ばかり、それらは例えば 天気予報の案内だったり、(タイプライターの響きと共に )請求書の発送を求めるビジネス・レターだったり、クリーニング店の注意書き、一曲だけ「愛 Love 」という情緒的なタイトルの歌がある・・・と思えば これも実は「Love 」について辞書に載ってる定義の文章だったり・・・
 愛(LOVE )とは
・・・中でも 機内スチュワーデスによる乗客へのアテンションのスイング感や、アップル・パイのレシピをそのまま歌詞にした料理の唄など、そちらも傑作!
 ここでもボブ・ドローへの深い愛情を感じる 加藤義彦氏による国内盤ライナーの文章は、必読の素晴らしさです。

ライト・オン・マイ・ウェイ・ホーム Right on My Way Home
Bob Dorough_Right On My Way Home  (Blue Note) ボブ・ドロー Bob Dorough 近影
 このアルバムは、二つのセッション録音から構成されています。
その1.ペンシルヴェイニア録音(1997年4月29日 ):ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、ビル・テイカス(エレクトリック・ベース )、グラディ・テイト(ドラムス )
  →  ホワットエヴァー・ハプンド・トゥ・ラヴ・ソングス、ザッカリー、ホッジス、アップ・ジャンプト・ア・バード、スプリング・キャン・レアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト、
その2.ニューヨーク録音(1997年5月6日 ):ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、クリスティアン・マクブライド(ベース )、ビリー・ハート(ドラムス )、ジョー・ロヴァーノ(ソプラノ&テナー・サックス)
  →  ムーン・リヴァー、ライト・オン・マイ・ウェイ・ホーム、ウォーク・オン、アイ・ゲット・ザ・ネック・オブ・ザ・チキン、サムシング・フォー・シドニー、
音 盤:ブルーノートTOCJ-6151(東芝EMI )
  マイルスとの共演(CBS )を除けば、マイナー・レーベルでの録音が多かったボブ・ドローでしたが、遂に名門ブルー・ノートからリーダー・アルバムをリリースすることになり、発表当時は ちょっとした話題になりました。国内盤まで出たほどでしたから。
 ドローとは永年の盟友だったビル・テイカスは 軽快なオリジナル曲「ザッカリー」を携えて参加。気心も知れた このテイカスのベース、歌心溢れるグラディ・テイトのドラムスによるトリオ編成のペンシルヴェイニア録音の方が 楽興の自由度もより高く とにかくオモシロイのですが、もちろん名手マクブライト、ベテランのハートジョー・ロヴァーノという豪華メンバーがバックアップするニューヨーク録音におけるドローのプレイがつまらない訳がありません。
 それにしても 素晴らしい仕上がりの傑作アルバムです。
 ドロー自身が叩きまくるピアノによる そのバッキング・フレーズや、リフのパターンは、どれも活気に満ち溢れており、 のっけから前代未聞のアレンジで炸裂する ヘンリー・マンシーニの名曲「ムーンリヴァーを、何と こんなリズムで演(や )ってしまうなんて・・・呆れつつも大喝采。ラストを締める、フラン・ランデスマンの作詞による名曲「スプリング・キャン・レアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト 」まで あっという間に 全曲が終わってしまう 充実の作品群です。
 アルバムのタイトル・チューン、楽しい「ライト・オン・マイ・ウェイ・ホーム Right on My Way Home 」や アルバム2曲目に収録された「ホワットエヴァー・ハプンド・トゥ・ラヴ・ソング Whatever Happened To Love Songs ? 」における個性的なピアノ・パートの秀逸さは、ドロー自身の歌唱の豊かな個性と見事に釣り合った「特異 」なプレイです。
 特に 五拍子という変拍子にもかかわらず 憑かれたように猛烈なスイング感で疾走する「アップ・ジャンプト・ア・バード Up Jumped A Bird 」は ドローのオリジナル曲、これはモダン・ジャズ草創期の巨人 チャーリー・パーカーをしのぶトリビュート・チューンなのです。また ドローと共にパーカーとも親交があった 名手フィル・ウッズが作曲した「ホッジス Hodges 」 - この曲のタイトルは、言うまでもなく、主にエリントン楽団で活躍した大物ジョニー・ホッジスのことですね。常に安定感ある澄んだ音色とフレーズが印象的な名手でした。飛びきり弾(はじ )ける楽しいスイング感の炸裂も秀逸ですが、フィル・ウッズ自身がこの録音に参加していたらなー などと つい考えてしまいます(ウッズ ブルー・ノートにおけるドローの次作「トゥー・マッチ・コーヒーマン 」に登場 )。

Too Much Coffee Man トゥー・マッチ・コーヒー・マン
Bob Dorough_Too Much Coffee Man (Blue Note)
収録曲: 1 The Coffee Song (They've Got A Lot Of Coffee In Brazil )、 2 Wake Up Sally, It's Saturday、 3 There's Never Been A Day、 4 I've Got Just About Everything、 5 Oklahoma Toad、 6 Too Much Coffee Man、 7 Fish For Supper、 8 Marilyn, Queen Of Lies、 9 Yesterday, I Made You Breakfast 、 10 Where Is The Song ?  11 Love (Webster's Definition )、 12 Late In The Century
録 音:1998年12月14日、1999年4月18日、5月6日、同28日
演 奏:ボブ・ドロー(ヴォーカル、ピアノ )、フィル・ウッズ(アルト・サックス、1,4,7,10 のみ )、スティーヴ・ギルモア(ベース )、ビル・グッドウィン(ドラムス )、レイ・ドラモンド(ベース )、ビリー・ハート(ドラムス )、ジョー・コーン(ギター ) 他
音 盤:Blue Note (7243 4 99239 2 8 )

  ブルーノートにおける二作目です。“コーヒーマン”とは ドローの盟友だったベーシスト、ビル・テイカスのことだそうですが、彼は 1998年11月8日、66歳で亡くなっています。ドローは2曲のコーヒーの唄「コーヒー・ソング 」「トゥー・マッチ・コーヒー・マン 」テイカスに捧げ、追悼の意を表しています。尤も むちゃくちゃ明るい曲なんですが・・・。
 前作以上に親しみやすいナンバーが満載で、演奏にも覇気が漲(みなぎ )っています。一般の方の耳には もしかしたら「ライト・オン・マイ・ウェイ・ホーム 」よりも 聴きやすさという点では勝るかもしれません。 5曲目の Oklahoma Toad は、デイヴ・フリッシュバーグのオリジナル曲、 8曲目の Marilyn, Queen Of Lies の作詞は Nothing Like You フラン・ランデスマンです。
 ドローがプロデュースした金子晴美さんのデビュー盤(前述 )で、ドローの名曲「ジャスト・アバウト・エヴリシング 」を伴奏していた フィル・ウッズのリズム・セクションのメンバーだったスティーヴ・ギルモア、ビル・グッドウィン(アルバム・プロデュースも )が、このアルバムに ウッズともども 全面参加していることが注目されます。

 しかし つくづくボブ・ドローのキャラクターに類似比肩するような才能は ジャズ界を見渡しても皆無であることを感じました。無理やりロック・ポップスの世界を探してみても 歌い方やイメージだけなら かろうじてドクター・ジョントム・ウェイツくらいしか見当たらない・・・、 実に突出した ワン・アンド・オンリーな個性であると思います。

■ 「ナッシング・ライク・ユー 」の作詞は、詩人フラン・ランデスマン
Fran Landesman フラン・ランデスマン Fran Landesman(1927 ~ )

わたし 「ボブ・ドローの録音が こんなにたくさんあって、しかも そのどれもが こんなにもおもしろかったなんて、わたし 全然知らなかったわ 」
マスター「 『ナッシング・ライク・ユー 』の歌詞は、ボブ・ドローが1960年にガスライト・スクェア・クラブクリスタルパレスで出会って以来 親しく共作を重ねてきた 女流詩人フラン・ランデスマン Fran Landesman(1927 ~ )のペンによるものです。彼女自身もマイルスの音楽を愛していて、自分の息子のひとりに なんと マイルスと名づけているほどだそうですよ 」
わたし  「へー、 それは相当ね 」
マスター 「近年、ドローは このフラン・ランデスマンの詩に作曲された楽曲(自作も含め )ばかりを集めたスペシャルな構成で、この女流詩人に敬意を表した 一枚のアルバム『スモール・デイ・トゥモロー Small Day Tomorrow 』という佳品を CANDIDレーベルから発表しています 」
Bob Dorough_Small Day Tomorow Bob Dorough with Fran Landesman in the words of Fran Landesman,in the style of Bob Dorough
(左から )「スモール・デイ・トゥモロー」のジャケット、
 若き日の共演盤を手にしながら語り合う ドローフラン・ランデスマン女史、右は 二人の最初の共演レコード・ジャケット

収録曲(全曲 フラン・ランデスマン作詞 )Small Day Tomorrow、Marilyn, Queen Of Lies、Antiquated Love、Harry In The Night、The Winds Of Heaven、 Feet, Do Your Stuff、On Top Of Mount Tipsey、New Song、The Ballad Of The Sad Young Men、Nothing Like You (An Extravagant Love Song )、Never Had The Blues At All、Evenin' Wearies
録 音:2005年4月
音 盤:CANDID(CCD-79844 )
  
アルバム「トゥ・コミュニケート To Communicate 」にも収められていた「ハリー・イン・ザ・ナイト」「ザ・ウインズ・オヴ・ヘヴン 」、アルバム「トゥー・マッチ・コーヒー・マン 」に収められていた「マリリン、クイーンズ・オヴ・ライズ 」などが、それぞれ全く異なるアレンジを施されて、聴き比べることが出来ます。
 「ニュー・ソング 」という一曲が目立ってオモシロイ作品。ピアノがブルーベック風の変拍子リズムを刻む 五拍子の楽曲です。
 これは ランデスマンの作詞集ではありますが、名曲「スプリング・キャン・レアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト 」が 収録されていません。でも これは ブルーノート盤「ライト・オン・マイ・ウェイ・ホーム 」でも演奏されていましたから、まあ 良しとしましょう。また このアルバム中で「ナッシング・ライク・ユー 」を披露しているのは 残念ながらドローでなく、若手の女声ジャズ・ヴォーカリストTrudy Kerr という人でした。ここでは ドローは ピアノ伴奏だけに徹しています。

■ 「ナッシング・ライク・ユー 」の「ユー 」とは マイルスのことだ!
マスター 「 では最初に話題を戻しましょう。よいですか、ボブ・ドロー = フラン・ランデスマンの『ナッシング・ライク・ユー 』歌詞中の『You 』をすべて、試みに『マイルス・デイヴィス 』に置き換えてみたら、プロデューサーのテオ・マセロマイルスのアルバム『ソーサラー 』のラストに わざわざこれを配置したくなった気持ちも わかるような気がするんです 」。
わたし  「『ナッシング・ライク・ユー 』の 歌詞を教えて頂戴 」
マスター 「はい、以下のとおりです 」

■「ナッシング・ライク・ユー 」歌詞 & 勝手な解釈大意を掲載!

ナッシング・ライク・ユー Nothing Like You                
作詞 : フラン・ランデスマン Fran Landesman


 Nothing like you has ever been seen before 
 Nothing like you existed in days of yore
 Never were lip so kissable
 Never were eyes so bright
 I can’t believe it’s possible

 That you bring me such delight
 Nothing can match
 The rapture of your embrace
 Nothing can catch
 The magic that’s in your face
 You’re like a dream come true
 Something completely new
 Nothing like you has ever been seen before

 Nothing like you
 Nothing like you has ever been mine before
 Kisses I’ve known but none so divine before
 No one has your magnificence
 Who can describe your charms
 I’d like to make my residence
 Forever in your arms

 I never knew how wonderful life could be
 No one but you could ever do this to me
 Call me a fool in love
 One thing I’m certain of
 Nothing like you has ever been seen before
 Nothing like you
 Nothing like you
 Nothing like you has ever been seen before

 You’re like a dream come true
 Something completely new
 Nothing like you has ever been seen before
 Just call me a fool in love
 One thing I’m certain of
 Nothing like you has ever been seen before
 Nothing like you

 You’re my everything I wanted
 Nothing like you
 I’ve never knew that you existed
 Nothing like you has ever been seen before
 Nothing like you
 Nothing like you
 Nothing like you has ever been seen before


 (マイルス、 )お前のような凄いヤツに、 
 俺は 今まで 会ったことがない
 お前のようなヤツには -
 (トランペットへの )お前のキスの仕方、
 その瞳の 何という明るい輝き、
 お前のやってのけたことが
 俺には とても信じられない

 お前が与える抱擁で( 音楽は )絶頂を迎える
 でも(音楽を )つかまえておくことは 決して出来ない
 お前の表情の中にこそ、まさしくマジックがある
 お前は 夢を現実にしてしまう
 それは 完全に新しい 何か(サムシング )だ

 お前のような凄いヤツに、
 俺は 今まで会ったことがない
 (トランペットへの )お前のキスの仕方は 天与のもの、
 他の誰もかなう者はないし、
 その魅力を言葉で表すことも 決して出来ない
 お前(の音楽 )の中に、
 俺は 永遠(いつ )までも 浸っていたい

 生きることが こんなにも素晴らしいことだったなんて、
 お前(の音楽 )に出会うまで
 俺は 知らなかった
 俺は まるでバカみたいに
 お前(の音楽 )に夢中になってしまった
 たったひとつ、確かにわかったこと、
 それは
 (マイルスよ、 )お前のような凄いヤツには 
 俺は 今まで 会ったことがなかった
 お前のようなヤツは どこにも いない -


 意 訳 : 山田 誠


■ 「ソーサラー 」におけるマイルスの存在とは、まさに
   ドーナツの中心 = Nothing Like You なのでは ? 

Sorcerer_ソーサラー
わたし  「・・・マスターの説、一理あるかも。『ソーサラー 』って マイルス・デイヴィスのアルバムでありながら、実は マイルス自身はドーナツの中心にいるみたいに、その存在自体 すっぽり抜けてる感があるもの 」
マスター 「このアルバムの中に マイルス自身の作曲した音楽が 一曲もないっていうのも 特異なことでしょ。“黄金のクインテット”メンバー全員の作曲したオリジナル・ナンバーが持ち寄られていることは良く知られていますが、しかし その多くが 実は マイルスのことを指していると思われるタイトルを持っている点に ご注目ください 」
わたし  「たしかに、 ここでマイルスのことを ウェイン・ショーターは『暗闇の王子 Prince of Darkness 』、『仮面(をかぶった者 )Masqualero 』と呼び、ハービー・ハンコックは『魔法使い The Sorcerer 』と呼んでる! 」
マスター 「トニー・ウィリアムスの曲『ピー・ウィー Pee Wee 』に至っては、なんとマイルス演奏にさえ参加せず、完全に休んでますし。さらにオリジナル・レコード・ジャケットの裏には、R.J.G.なる 当時のビートニック詩人と思われる人物が書いた『Miles : The Sorcerer 』なる前衛的な詩(? )が掲載されています。これは 言葉遊び風の文体ですが、詩の中にはアルバムに収録された楽曲のタイトル名を巧みに盛り込みながら、マイルスの音楽スタイルについて、極めてフリーに書かれているのです 」
わたし  「てへっ、ジャケット裏なんか 今まで 読んだことなかったなー  」
マスター 「そうなんです、『ソーサラー 』とは、テオ・マセロの巧みなプロデュースによって マイルス・デイヴィスのアルバムでありながら、 本人であるマイルス以外の人達が 客観的に 『マイルスについて語ろう 』という多角的な性格が なぞなぞのように隠されたアルバムだったのではないでしょうか 」
わたし  「そして、テオ・マセロが思い出して アルバムのラストに押し込めた楽曲が 、オクラになっていた この旧録音 『ナッシング・ライク・ユー 』だったのね・・・ 」
マスター 「そういうことです、事実 この曲では 上記のとおり フラン・ランデスマンの歌詞が まさしくマイルス自身のことを指して、“お前のようなヤツは いない ” と繰り返しているわけですからね 」
わたし  「ふーん、そう考えるとオモシロイね! 『ナッシング・ライク・ユー 』を、ボブ・ドローのヴォーカルで もう一度 聴きたくなっちゃった。かけて頂戴 」
マスター 「お安い御用です。それじゃ 今度は、1999年にL.A.のジャズベイカリーで、ボブ・ドローが自分と同じくピアノ弾き語りの軽妙なスタイルで知られる デイヴ・フリッシュバーグ Dave Frishberg との素晴らしいデュオ・ライヴ盤“ Who's on first ? "(Blue Note 7243 5 23403 2 3 )に収録されたピアノ・ヴァージョンで 『ナッシング・ライク・ユー 』、聴かせてあげましょう 」
Bob Dorough&Dave Frishberg Bob Dorough(left )、Dave Frishberg(right )
(左 )ジャケット写真(ブルーノート )
(右 )ボブ・ドロー Bob Dorough(左手前 )とデイヴ・フリッシュバーグ Dave Frishberg (右奥 )


マスター 「 ・・・って あれ? ステレオがつかないなー 」
わたし  「マスター、急に お店の中 真っ暗になったよ。ストーヴ代わりにしていたトースターも消えちゃったし・・・ 」
二人一緒に )「・・・ わ、東電計画停電だ! 」

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