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スケルツォ倶楽部
伝ハイドンの「セレナード 」
真の作曲者は 修道士ロマン・ホフシュテッター


わたし       「こんにちは、“スケルツォ倶楽部”発起人(妻 )です。本日は ゲストを一人、お迎えしてますよー。ロマン・ホフシュテッターさんです、 どうぞ! 」
 ( 入場音楽 : ハイドン 交響曲第101番「時計 」から メヌエット冒頭、30秒でF.O. )
 ( 拍手、ぱらぱら )

ホフシュテッター 「こんにちは 」
わたし       「よくお越しくださいましたー。あれ、拍手が 少ないんじゃないですか。皆さーん、もう一度。ロマン・ホフシュテッターさんですよー Herr Roman Hofstetter ! 」
 ( 音楽 : もう一度 ハイドン「時計 」交響曲のメヌエット F.O. )
 ( 拍手、ぱらぱら )

ホフシュテッター 「いいんですよ、ボク 有名じゃないですから。それに、何故ここへ呼ばれたんだか ボク自身 理解出来ていませんし 」
わたし       「そんなこと おっしゃらないで。ところで ホフシュテッターさんは、今日は どちらから? 」
ホフシュテッター 「ボクは ベネディクト会の敬虔な修道士として一生を過ごしましたから、当然 天国からですよ 」
わたし       「それは おめでとうございます。ぜひ会員の皆さまに 祝福を 」
ホフシュテッター 「栄光は父と子と聖霊に、初めのように 今も いつも 世々に 」
わたし       「アーメン。では 修道士のホフシュテッターさん、突然ですが 貴方のご趣味は何ですか? 」
ホフシュテッター 「作曲です。ボク、実は 当時最高の音楽家ヨーゼフ・ハイドン師の信奉者で、尊敬するハイドン先生のスタイルを熱心に研究して、その様式を自分の作品のお手本としていたほどなんです 」
わたし       「えー、それは素晴らしいですね。そんなホフシュテッターさんの作品、売れましたか 」
ホフシュテッター 「いやー、全然ダメでしたね。一度 人に勧められて 自分では自信作だった 弦楽四重奏曲集を 今思えば いかがわしい楽譜出版社に持って行ったことがあるんですが、『作風がハイドンの亜流に過ぎず、オリジナリティがない 』とか、『素人が手慰(なぐさ )みに作った 自己満足品だ 』などとまで言われ、深く傷つきました 」
わたし       「それは 哀しい思い出ですね 」
ホフシュテッター 「でしょ? もー よっぽど その場で楽譜を破り捨てて帰ってやろうかと思いましたよ。しかも その出版社ったら 作曲者がボクであることを伏せる という条件でなら そこそこの金額で作品を買い取ってやる、なーんて持ちかけてきたんです 」
わたし        「ま、ひどい! 当然 ガツンと 断わってやったんでしょ(鼻息 ) 」
ホフシュテッター 「いえ、全部 言い値で 売っちゃいました 」
わたし        「(ズッこけ )なんで? 」
ホフシュテッター 「ミルテンベルクまで帰る旅費が足りなくて、背に腹は代えられなかったのです。もとより 神に仕えるこの身、現世に蓄えを持たぬ貧しい修道士ですから 」
わたし        「ははあ ・・・それで謎が解けましたよ 」
ホフシュテッター 「え、どういうことですか? 」
わたし        「あ、では 説明する前に、ここで 音楽を一曲 聴いて頂きましょう 」

 ( 会場に流れる音楽 )

イタリアSQ 伝ハイドン(Philips) この人の画像はありません。
(左 )ディスクの表紙
(右 )ロマン・ホフシュテッターの肖像 (・・・ありませんでした )

伝ハイドン : 弦楽四重奏曲 第17番へ長調から 第2楽章「セレナード 」 (03:40 )
演 奏 : イタリア弦楽四重奏団
録 音:1965年8月11~24日 スイス、ヴヴェイ
音 盤 : PHILIPS(PHCP-20476 )

  かつては 「ハイドンの『セレナーデ 』 」と言えば、長らくこの曲を指したものでしたが、戦後になってから ロマン・ホフシュテッター Roman Hofstetter というアマチュア作曲家による作品だったのでは との説が 徐々に有力となり、研究・調査の結果 ついに1960年代になって ハイドン作品3に当たる6連の弦楽四重奏曲(第13番から第18番まで )のすべてが 偽作 だったことが、確定したそうです。
 しかし有名曲だっただけに 周知には かなり時間がかかったらしく、発起人(夫 )によると、彼がまだ幼い頃 - 昭和40年代 - に この曲を初めてラジオで聴いた当時は、依然として「ハイドンのセレナード 」として紹介されていたことを 鮮明に記憶しているそうです。事実、昭和48年(1973年 )に第7刷が増刷されている音楽之友社ポケット・スコアには 依然として「ハイドン作曲 」と明記され、武川寛海氏による解説文にも 真の作曲者ホフシュテッターの字さえ 出てこないのです。
 曲は やはり第2楽章「セレナード 」の優美な旋律が魅力。終始 ギターのような奏法・音色を模した弦が ピッツィカート奏法によって伴奏部を受け持ち、 第1ヴァイオリンが歌うアルコを 引き立てる役割を担っています。



ホフシュテッター 「(音楽を聴いて )・・・こ、これはボクが作った曲だ、あの時 楽譜出版社に買い叩かれた 弦楽四重奏曲集の中の一曲の緩徐楽章に間違いない・・・ 」
わたし       「ホフシュテッターさん、これは つい最近までヨーゼフ・ハイドンが作曲した弦楽四重奏曲として伝わっていた名作だったんですよ 」
ホフシュテッター 「う、くく・・・ 」
わたし       「ああ、悔し泣きでしょうか。大丈夫ですか、ホフシュテッターさん。やはり貴方をだました出版業者は 許せませんよね 」
ホフシュテッター  「いえ、安心してください、コレ 嬉(うれ )し泣き ですから。だって ただの素人作曲家に過ぎないボクの作った音楽が、なんと200年以上も残されていたなんて・・・望外の喜びです。大方そうしたほうが売れるからというだけの理由で、偽ってハイドン先生の名を冠した出版社にも 今は恨みも感じません 」
わたし       「なんて謙虚な人なのかしら・・・ 」
ホフシュテッター 「しかも ボクの曲が、心から尊敬していたハイドン先生の作品として そんなにも長い間 疑われることなく受け容れられていたなんて、もう それだけで この上なく名誉なことです・・・ 」

 Haydn_portrait_by_Thomas_Hardy_(Public Domain)
 そこへ ハイドン 先生 登場、 
「うーむ ホフシュテッター君、誠に殊勝なる心掛けかな。あの傲慢なベートーヴェンの奴の 耳元に口を当てて 大声で聞かせてやりたいような言葉じゃ! 」 
   ハイドン先生と若きベートーヴェンとの確執は ⇒ こちら

わたし       「はい、皆さーん。今度こそ ロマン・ホフシュテッターさんに 大きな拍手をどうぞ!  」
 ( 盛大な拍手・・・ )

 ※ 今回は、木曾のあばら屋さま の文章 ⇒ こちら にインスピレーションを受けて書いたことを ご報告します。どうもありがとうございました!

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コメント

Sunday1 さま !

やっぱり まだ 出てきました。しかも 大名曲!
・・・ J.S.バッハ? メヌエット ト調 : ベッツォルト作曲http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%84%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88

Sunday1 さま は、 楽しいブログ 『心はいつも日曜日』http://sunday888.blog76.fc2.com/ 
の Author 西村恵一さま です! お便り どうも ありがとうございます!

“スケルツォ倶楽部” 会員の皆さまも、
もし まだ他に ご存知の 贋作・疑作 の名品(? )を、ふと 思い出されることがありましたら、どうぞ おぼえ書きのつもりで 気楽に ご投稿くださいね。
お待ちしてまーす!

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

お忘れなく

はじめまして。
偽作大好きなものです。
ベッツォルト作曲バッハのメヌエットをお忘れなく!

さらに 次点名曲を 考えました

木曾のあばら屋さま!

実に興味深い 良コメント、どうもありがとうございます。
ホント、結果的には おっしゃるとおり! 力強く同意します。

ところで、名曲なのに 正しい作曲者名が 長い間 特定されなかった作品 - 必ずしも「贋作 」とは決めつけられないものもありますが - わたしも 次点名曲を 思いつくまま 挙げてみました!

4.モーツァルト? “子守唄” : フリース作曲
5.ハイドン? レオポルド・モーツァルト? “おもちゃの交響曲” : アンゲラー作曲
6.カッチーニ? “アヴェ・マリア” : ヴァヴィロフ作曲

うーん、まだ探せば出てきそう・・・
このネタを使って、 “スケルツォ倶楽部” に また新しく記事が書けそうです!
これからも どうぞ よろしくお願いいたします。

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

3大贋作名曲

こんにちは。
ワタシが勝手に「クラシック界三大贋作名曲」と呼んでいるのが、

1.アルビノーニのアダージョ:じつは「発見者」ジャゾット(1910~1998)の創作
2.ヴィターリのシャコンヌ:作曲者不明、少なくともヴィターリではない
3.ハイドンのセレナード

であります。

金儲けのために勝手にハイドンの名前で出版したのはベユー社という出版社ですが、
この名曲が埋もれてしまうことから防ぎ
ホフシュテッターの名前も残したのですから
結果的には良いことをした・・・といえるのでしょうか??

URL | 木曽のあばら屋 ID:GHYvW2h6[ 編集 ]

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