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スケルツォ倶楽部 
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「サンタクロース物語」(16)

ヘンデル「メサイヤ」ニコラウス・アーノンクール(RCA)BVCC-37698 クリスマスの音楽_サンタ_スヌーピー

↑ 今宵の一枚
▽ ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
ニコラウス・アーノンクール 指揮 Nikolaus Harnoncourt
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス Concentus Musicus Wien
クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)Christine Schafer
アンナ・ラーソン(アルト)Anna Larsson
ミヒャエル・シャーデ(テノール)Michael Schade
ジェラルド・フィンレイ(バス)Gerald Finley
アルノルト・シェーンベルク合唱団 Arnold Schoenberg Choir
録音:2004年12月18、19日 ウィーン、ムジークフェラインザール(ライヴ)
RCA = BMGジャパン ( BVCD-34030~31)


 意表を突いて 弦セクションの弱奏から開始される 衝撃の「ハレルヤ・コーラス」が、アーノンクール解釈の革新性を象徴します。
 かつてのアーノンクールに比べると アグレッシヴで先鋭的な表現こそ影を潜めてはいるものの、Teldec → RCA(BMG) 移籍後の、力作続きの傑作の中でも 必携の一品 としておススメします。堅いスティックでアクセントを添えるティンパニの快打にも注目。年内に一度、ぜひ通して聴き直したくなる名盤です。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「サンタクロース物語」
(16)最終回 : 聖ニコラウスの新しいお仕事


 ・・・「こらこら、起きてくれよ。ほら、ニコラウス 」
暖かく柔らかいベッドの上で熟睡しながら、なぜか煙突に身体が詰まって抜けられない という不思議な夢を見ていたニコラウスに、目覚めよと呼ぶ声が聞こえました。
「α§眠ΔΘ〆Ω? 」
口元に一筋垂れてしまった涎(よだれ)を肘で拭き、白いひげを掻きながらニコラウスが立ち上がると、そこには清潔な白い服をまとったキリスト・イエスが 微笑みながら立っておられます。
「あ、イエスさま!」
「もう少し休ませておきたかったが、すまないね。お前にひとつ 大事な仕事を頼みたいのだが、どうだろう 」
今や はっきりと目覚めたニコラウスは、もちろん
「はい、何なりと 仰せつけください! 」
と、良い返事をしました。そこでキリストはおっしゃいました。
「わたしの誕生を祝ってくれる記念日に、世界中の人々が みんな 自分の子どもたちに贈り物をあげるようになれば、きっと世の中はもっと平和になると思うのだよ。この良いアイデアが 習慣として世界に定着するまで お前には毎年 この季節になるたび、空を飛ぶトナカイたちに橇(そり)を引かせて プレゼントを - 今度は 私にではなく - 世界中のよい子たちに 配ってあげてもらいたいのだが ニコラウスよ、そういう仕事は お前にどうだろう 」
それは オレには適役だぞ、と ニコラウスは謙虚に考えました。
「そして わが子のことを愛し、大事に想う お父さんやお母さんのまごころが この世に存在し続ける限り、お前には いつまでも この仕事を務めてもらいたいんだが、どうだろう 」
「はい、主よ。喜んで務めさせて頂きます! 」
キリストから 直(じか)に 新しい仕事を与えられたニコラウスは、主イエスのお役に立てることを 心から嬉しく思いました。といっても 軽薄に舞い上がるようなことは もちろん慎みました。むしろ ぐーっと 気持ちを引き締めると、彼は 久しぶりに 大きく深呼吸してから 頭を下げました。大仕事を任された時 ニコラウスは いつも自然にそうしてきたのでした。

「ありがとう、聖ニコラウス(サンタクロース)よ。引き受けてもらえて うれしいなあ。ところで、お前のことを大事に想っている私からも 素敵な贈りものがあるんだけど、受け取ってもらえるかな? 」
と、まるで悪戯(いたずら)っ子が 友だちに内緒ばなしをするかのように、くすくすと忍び笑いを堪(こら)えながら、キリストが ご自分の懐(ふところ)からよっこらしょと取り出してみせたのは、大きな白い袋でした。
「あ、それは - 」
あの雨の晩 イヴリーの宿屋が放火された夜、ヘロデの近衛隊長ロンギヌスによって奪われ 火中へ投じられた筈の、ニコラウスの贈り物の袋でした。しかもそれは30年前 彼がエリコの作業場で おもちゃの最後の一つを詰め終え、まさに たった今 袋の口を麻ひもでぎゅっと縛り上げたばかりの ぴかぴかの新しさでした。
「そうだよ。見覚えがあろう、お前が 東方の三博士からの依頼によって、私のために用意してくれた、素晴らしい “ イッツ’ア・スモール・ワールド ”だ 」
キリストは、その大きな重い袋を まるで綿菓子でも持ち上げるかのように ご自分の手のひらの上に軽々と乗せ、はいと差し出されました。
ニコラウスは ちょっぴり当惑しました。
「これを・・・ 私に 返してくださるのですか 」
その両腕に釘の穴が残るキリストは、優しい微笑みと一緒に うんと頷かれました。
「今のお前にはね、これを渡さなければならない人が 他にいるはずだからだよ 」
と、次にキリストが指し示された空間に目を移してみると、そこには いつのまにか真っ白な扉が用意されていました。
 主イエスに背中を押されたニコラウスがそこに立ってみると、扉は自動ドアで、まるで天使が翼を広げるかのように両側いっぱいにゆっくりと 静かに開きました。
 
 そのドアの向こう側には・・・ ああ、別れてから30年以上 ニコラウスが 一日も忘れたことのなかった、彼の愛しい妻、マルタの美しい姿がありました。
 彼女は真っ白い服をまとい、夫であるニコラウスのことを それと認めると 懐かしい満面の笑顔で、跳ねるように駆け寄ってきました。マルタは、すでに癒されているのでしょう、かつては不自由だったその片足を もはや引きずってはいませんでした。
「ニコラウス! 」
「マルタ! 」
 そして、彼女の背後にこっそり隠れていて その足元から よちよちと走り出すなりママを追い抜いてニコラウスの腰のあたりまで ぴょーんと抱きついてきた幼い子どもは - 彼の大事な可愛い2歳の息子カルロスでした。カルロス坊やは 心底うれしそうに 父の顔を見上げると、かつてそうしていたように、精一杯の歓迎の言葉で ニコラウスを迎えてくれました。
パパ、 おかえりなさい! 」

ラファエロ「小椅子の聖母子」
 
 キリストの柔和な お声が ニコラウスの頭上から聞こえました。
「さあ、お前の愛する子に お前のまごころの贈り物をあげなさい。お前が最も小さな者のひとりにしたこと、それは すなわち私にしたことと同じなんだからね。ありがとう、ニコラウス。お前の贈り物は、確かに 私に届いたのだよ 」
聖ニコラウスは、至福の感動と感謝のあまり どっと滝のように溢れ出した自分の涙が、まるで 再会を果たせたばかりの大事な家族を 再び流し去ってしまうことを恐れるかのように、しっかりとその両腕に愛する妻子を抱きしめていました。
 ・・・ 彼らの傍らでは、キリスト・イエスがやさしく微笑みつつ 聖ニコラウス(サンタクロース)と家族との仲睦まじい光景を いつまでも温かく見守っていました。

 ― 良かったですね。
 クリスマスの意味を知って これを祝う、あなたと ご家族のすぐ傍らにも
 ほら、キリスト・イエスは立っていますよ。

メリー・クリスマス 
⇒ 「サンタクロース物語 」 を はじめから読む
⇒ 「サンタクロース物語 」 あとがき

文章:“ スケルツォ倶楽部 ”発起人 2010.12.25.

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